よく「男は単純だ」と言われます。
全くもってその通りです。
ぐうの音も出ませんね。
願わくば、知性と教養に満ち溢れた大人の男になりたいものです。
ただ、その単純さも案外悪くないかもしれません。
それを有効活用すれば、困難なことに対しても頑張れたり、目標に向かって努力する原動力になったりすることもあります。
誰も興味ないでしょうが私自身の経験をお話しします。
今年の夏の話です。
私には大学時代の女性の先輩で、とても尊敬している人がいます。
「尊敬している」と言っておきながら、恋愛感情がゼロかというと嘘になります。
できることならこういう知的な女性とお付き合いしたいなと思ってしまいます。
ただ、どんなに甘く見積もってもこの方と私が釣り合うかというと無理があります。
それでも久しぶりに食事に誘ってみたら意外にもあっさりOKしてもらえました。
となれば私がするべきことは男を磨く以外にありません。
先輩と会うまでの期間、最大限己を磨こうと決意しました。
まずは肉体から鍛えます。
筋トレは週5くらいで励みました。
これまでにないくらい高い集中力で臨めましたし、自分なりに限界まで追い込めたと自負しております。
当然食事にもこだわります。
ジャンクなものやインスタント食品は極力食べないようにして、自炊で栄養価のあるものを食べるように努めました。
睡眠に対しても貪欲になり、質・量ともに最大限になるよう工夫を凝らします。
これにより、寝る前にスマホをいじる悪習慣に終止符を打ちました。
さらには無頓着だった外見にもメスをいれます。
ただ、全くもって無頓着というわけではなかったものの、今のままではお話にならないと気合を入れ直しました。
腕の毛は亡き者にし、寝る前にはニベアによる保湿を欠かしません。
スキンケアも化粧水と乳液を駆使して、入念に行います。
さらには髪の毛も整え、理髪店で顔の産毛を剃り、眉毛も綺麗にしてもらいました。
これくらいのことはやって当然です。
おそらく、イケメンと称賛されモテモテの人生を送っている人たちは、この程度のことだと呼吸するかの如くやっていると推察します。
ただ、最も注力したのは碁の勉強でしょうか。
先輩との食事の約束の2週間前には地元で3年ぶりに開催される大会が控えていました。
食事も心底楽しみにしていたのですが、こちらの方も気合が入ります。
もちろん目指すは優勝です。
私の記憶している限りでは、自身の囲碁人生においてこれほどまで勉強したことはなかったでしょう。
仕事で忙殺される中での勉強だったのできついところもありましたが、それでも頑張れたのは「勝利への執念」、さらにはその先にある「美女との食事」があったからでしょう。
結果的にその大会で優勝することができました。
自分でもよくやったと思います。
で、そんなこんなで食事の日を迎えます。
久しぶりに会った先輩はまさに「大人の女性」という感じで、知的で聡明な雰囲気を醸し出しています。
最初はお互い緊張もありましたが、最終的には会話も弾み楽しい時間を過ごすことができました。
ただ、先輩の恋愛対象になるにはまだまだ修行が足りんなといった感じでした。
という特に落ちとかもないエピソードでした。
これを読んで「単純すぎて草生える」みたいなこと言うでしょ。
でもですよ。
単純だろうが何だろうが、自分を高めようと努力できたことはシンプルに素晴らしいことでしょ。
正直、頑張るのに高尚な理由とか大義名分とかいらないと思うんですよ。
内心は我欲に忠実になって、うまくいってから美しい言葉で表現すればいいです。
そう考えると男の単純さっていい方向に向けば、軽視できないですよね。
ちなみにこの先輩とはまた食事に行くことになりました。
今回も私から誘いましたが、某カフェの某メニューの無料券があり、それを使いたいから一緒に行こうと言われました。
一緒に行ってくれる人を探していたようです。
それを聞いて「てことは彼氏いないってことやん」と舞い上がっています。
自分でも引くほど単純です。
でも、この単純さが私を成長させるのです。